日本中國學會

The Sinological Society of Japan

2005年 学会展望 哲学

 昨年に引き続き、平成十六年の学界展望哲学部門は、名古屋大学大学院文学研究科中国哲学研究室の竹内弘行が、神塚淑子・吉田純両氏と研究室諸氏の協力をえて、担当した。

 本目録の資料は、当研究室竹内あてのメールによるものの他に、主に次の二つの方法で収集した。ひとつは、インターネットで公開されている出版情報で、これは本研究室出身の庄兵氏(椙山女学園大学非常勤講師)が各出版社・大学のホームページ等に丹念にアクセスして六百点近くものデータを集めて下さった。もうひとつは、従来からの京都大学人文科学研究所附属「漢字情報研究センター」に寄せられた資料について、同所の協力のもとに主に各種学会誌・大学紀要を点検し、前記の調査結果と突合わせし、場合によっては、直接出版社等に問い合わせして、関係論文著書データの確認と取捨や補充をした。以上により本年は著書論文あわせて七百点近くなった。もとより自費出版などの遺漏は免れず、毎度ながら、お気付きの点は、是非ご示教いただきたい。

本目録の作成基準は、以下の通り。

  1. 本目録に掲載した資料は、上述のとおり会員からメールによる報告(いわゆる「自己申告」)のほかに、インターネットによる検索と「漢字情報研究センター」収集になる論文資料の調査による。その他に直接、出版社や学術団体等へ問い合わせなどもおこなった。以上の各種の方法で収集して作成したものである。
  2. 分類は、前年と同様に、大きく単行本と論文に二分した。論文の中には、研究回顧や書評も入れた。書評は、それと判るものは、できる限り「書誌学」欄にまとめた。また、それぞれを、「総記」より「補遺」にいたる十三の項目に分類にしてあるが、どの分類にいれるかは、当方の判断によった。内容によっては多岐に渡るものもあり、その場合は、おおむね「総記」か「その他」に入れ、一点を複数項に入れることはしなかった。
  3. 分類の同一項目内では、論者(あるいは訳者)の名前の五十音順で配列した。例年、中国音・韓国・朝鮮語読みを指定された場合はこの限りではないとしていたが、今回は、自己申告が少なく、特にそうした指定はなかった。ただ、名前の読み方で思わぬ間違いをしているかもしれない。この点も、ご示教いただければ幸いである。
  4. 収録した論著は、平成十六年(二〇〇四年)一月から十二月の間に公刊されたものであるが、それ以前のもので、既刊の本会報に掲載漏れであって、今回、新たに気付いたり、申告のあったものは、「十三、補遺」にいれた。

 本目録には、まだまだ収集漏れや校正ミスも多いことと思われる。ご寛恕を請うとともに、お気付きの点は、日本中国学会の出版委員会か、あるいは、名古屋大学大学院文学研究科中国哲学研究室・竹内弘行(Tel・Fax 052―789―2279)までご教正の労を惜しまれないことを切にお願いしたい。


単 行 本

一、総 記

板野 長八 中国古代社会思想史の研究 研文出版
石塚  迅 中国における言論の自由―その法思想、法理論および法制度 明石書店
井波 律子 奇人と異才の中国史 岩波書店
井波 律子 故事成句でたどる楽しい中国史 岩波書店
今枝 二郎 道教―中国と日本をむすぶ思想 日本放送出版協会
岩崎 雅美 中国・シルクロードの女性と生活 東方出版
印   順[著]伊吹敦[訳] 中国禅宗史―禅思想の誕生 山喜房仏書林
臼杵  勲 鉄器時代の東北アジア 同成社
王   柯 多民族国家中国 岩波書店
王   敏 意の文化と情の文化―中国における日本研究 中央公論新社
汪 涌 豪[著]鈴木博[訳] 中国遊侠史 青土社
岡田 英弘 中国文明の歴史 講談社
小川 義男 「急所」で読む中国の古典 ベストセラーズ
沖  隆次 NHKその時歴史が動いた中国英雄編 ホーム社
可児 弘明 民道教の周辺 風響社
狩野 直禎 「中国の歴史」がわかる50のポイント―古代から現代中国までの流れが見える PHP研究所
川本 芳昭 中国史のなかの諸民族 山川出版社
木田知生・檀 上 寛[共著] 中国人物列伝―第三講歴史家と歴史書第四講日中交流史話 恒星出版
桐本 東太 中国古代の民俗と文化 刀水書房
金  文学 好色と中国文化―中国の歴史は夜に作られた 日本僑報社
倪 其 心[著]橋本秀美・鈴木かおり[訳] 校勘学講義―中国古典文献の読み方
中国古典文献学・基礎篇(1) アルヒーフ
国学院大学日本文化研究所[編] 東アジアにみる食とこころ―中国・台湾・モンゴル・韓国・日本 おうふう
小島  毅 東アジアの儒教と礼 山川出版社
酒井忠夫[監修」坂出 祥伸[編] 中国日用類書集成14 汲古書院
坂出祥伸先生退休記念論集刊行会[編] 中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸先生退休記念論集 東方書店
坂出 祥伸 東と西の文化交流 関西大学東西学術研究所
阪倉 篤秀 長城の中国史中華VS.遊牧六千キロの攻防 講談社
鍾  清漢 賢人家訓の人間学 アジア文化総合研究所出版会
人民教育出版社歴史室[著]小島晋司・川上哲正・大沼正博・白川知多[訳] 中国の歴史―中国高等学校歴史教科書 明石書店
蘇秉・張 明 声[共著] 新探中国文明の起源 言叢社
大東文化大学[編] 中国における形と心―大東文化大学創立八十周年記念学術シンポジウム 汲古書院
高島 俊男 本と中国と日本人と 筑摩書房
棚橋 篁峰 中国茶文化 紫翠会出版
辻  康吾 中華曼陀羅―変わる中国―変わらない中国 岩波書店
土屋 英明 房中秘記―中国古典性奇談 徳間書店
土屋  哲 古層文明から21世紀を読み解く―気の比較文化誌 朝日新聞社
鳥越憲三郎 中国正史倭人・倭国伝全釈 中央公論新社
中西 輝政 帝国としての中国―覇権の論理と現実 東洋経済新報社
野村 伸一 東アジアの女神信仰と女性生活 慶応義塾大学出版会
藤浪 葉子 中国千古万古物語 碧天舎
フランソワ・ジュリアン[著]中島隆博[訳] 勢効力の歴史―中国文化横断 知泉書館
丸山  宏 道教儀礼文書の歴史的研究 汲古書院
宮沢正順博士古稀記念論文集刊行会[編] 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集― 青史出版
宮本 一夫 神話から歴史へ(神話時代夏王朝) 講談社
百田弥栄子 中国神話の構造 三弥井書店
山形 欣也 図説・中国文化百華16 農山漁村文化協会
山田 勝芳 中国のユートピアと「均の理念」 汲古書院
山本史也[著]白川静[監修] 神さまがくれた漢字たち 理論社

二、先  秦

浅野 裕一 諸子百家 講談社
浅野裕一・湯浅邦弘[共編] 諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想 岩波書店
井上 宏生 人生の岐路に立ったらやっぱり論語 河出書房新社
今枝 二郎 孫子のことば 斯文会
宇野精一[著]古橋紀宏[編] 孔子家語 新書漢文大系 明治書院
梅 原 猛・安田喜憲[共著] 長江文明の探究―森と文明の旅 新思索社
加地 伸行 論語―ビギナーズ・クラシックス中国の古典 角川書店
加地 伸行 論語 講談社
小林信明[著]西林真紀子[編] 列子 新書漢文大系 明治書院
渋沢栄一・竹 内 均[共著] 渋沢栄一「論語」の読み方 三笠書房
島  邦男 殷墟卜辞研究新版 汲古書院
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈1上) 平凡社
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈1下) 平凡社
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈2) 平凡社
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈3上) 平凡社
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈3下) 平凡社
白川  静 白川静著作集(別巻金文通釈4) 平凡社
白川 零次 論語とリストラ 竜門出版社
高橋庸一郎 睡虎地秦簡『編年記』『語書』釈文註解 友書店
谷   学 ザ・グローバル論語日英中対訳 第二海援隊
野村 茂夫 老子・荘子―中国の古典 角川書店
林 巳奈夫 神と獣の紋様学―中国古代の神がみ 吉川弘文館
吹 野 安・石本道明[共著] 孔子全書〈9〉論語(9) 明徳出版社
藤井専英[著]井ノ口哲也[編] 荀子 新書漢文大系 明治書院
真鍋 呉夫[訳] 三略 中央公論新社
緑川 佑介 孔子の一生と論語 明治書院
守屋  淳 逃げる「孫子」―他を凌駕する兵法の原点とは 青春出版社
守屋  洋 「孫子の兵法」がわかる本―世界最高の「人生戦略の書」をどう読むか! 三笠書房
柳谷 隆幸 新訳「老子」―古代中国「気」論 新風舎
羅振玉[編]内山知也[著] 甲骨文墨場必携(集殷虚文字楹帖彙編)新版 木耳社

三、秦・漢

青木 五郎 史記〈11〉列伝4新釈漢文大系 明治書院
王  勇華 秦漢における監察制度の研究 友書店
斎木 哲郎 秦漢儒教の研究 汲古書院
鶴間 和幸 始皇帝陵と兵馬俑 講談社
鶴間 和幸 ファーストエンペラーの遺産(秦漢帝国) 講談社
堀  敏一 漢の劉邦―ものがたり漢帝国成立史 研文出版
宮脇 俊三 史記のつまみぐい 新潮社
吉川 忠夫 後漢書(第7冊) 岩波書店
吉川 忠夫 後漢書(第8冊) 岩波書店
好並 隆司 前漢政治史研究 研文出版
劉慶柱「著」小原俊樹[訳] 漢長安城骨簽書法 木耳社
渡辺 義浩 全訳後漢書(第11册)列伝1(自劉玄劉盆子列伝第一至銚期王霸祭遵列傅第十) 汲古書院
渡辺 義浩 全訳後漢書(第2册)本紀2(自安帝紀第五至皇后紀第十) 汲古書院
渡辺義浩・小林春樹[共訳] 全訳後漢書〈第3冊〉志1(自巻一至巻三・律暦) 汲古書院

四、魏・晋・南北朝

井波 律子 『三国志』を読む 岩波書店
加来 耕三 三国志人を動かす極意 実業之日本社
釜谷 武志 陶淵明―中国の古典 角川書店
稀代麻也子 『宋書』のなかの沈約―生きるということ 汲古書院
金  文京 三国志の世界(後漢三国時代) 講談社
窪添 慶文 魏晋南北朝官僚制研究 汲古書院
高橋忠彦[著]今井佳子[編] 文選賦篇2 新書漢文大系 明治書院
田部井文雄 陶淵明のことば 斯文会
中島 悟史 曹操註解 孫子の兵法 朝日新聞社
前田 繁樹 初期道教経典の形成 汲古書院
水野  祐 評釈魏志倭人伝 雄山閣
渡辺 義浩 三国政權の構造と「名士」 汲古書院

五、隋・唐

関口静雄・山本博也[著] 招提千歳伝記 唐招提寺・律宗戒学院叢書 昭和女子大学近代文化研究所
藤善 真澄 隋唐時代の仏教と社会―弾圧の狭間にて 白帝社
柳田 聖山 唐代の禅宗(学術叢書・禅仏教) 大東出版社

六、宋・金・元

会谷 佳光 宋代書籍聚散考―新唐書芸文志釈氏類の研究 汲古書院
吾妻 重二 朱子学の新研究―近世士大夫の思想史的地平 創文社
伊藤  肇 『十八史略』に学ぶ人生の法則 致知出版社
辛 島 驍・多久弘一[共著] 十八史略詳解上〉 明治書院
辛 島 驍・多久弘一[共著] 十八史略詳解下〉 明治書院
斎木 哲郎 春秋胡氏伝通解稿(中冊)―僖・文・成・宣― 鳴門教育大学社会系教育講座倫理学研究室
斎木 哲郎 春秋胡氏伝通解稿(下冊)―襄・昭・定・哀― 鳴門教育大学社会系教育講座倫理学研究室
周藤吉之・中嶋敏[共著] 五代と宋の興亡 講談社
西村恵信[訳] 無門関 岩波書店
森田 憲司 元代知識人と地域社会 汲古書院
渡部 昇一 歴史は人を育てる―『十八史略』の名言に学ぶ 致知出版社

七、明・清

井上 新甫 王陽明と儒教 致知出版社
岡田 武彦 岡田武彦全集4 王陽明大伝(4)―生涯と思想 明徳出版社
岡田 武彦 岡田武彦全集10 王陽明と明末の儒学〈上〉 明徳出版社
岡田 武彦 岡田武彦全集11 王陽明と明末の儒学〈下〉 明徳出版社
小川  尚 明代都察院体制の研究 汲古書院
小林日出夫 陽明学・一〇〇のことば―リーダー達の行動哲学 明徳出版社
川越 泰博 モンゴルに拉致された中国皇帝―明英宗の数奇なる運命 研文出版
川越 泰博 明史 明徳出版社
黄 宗 羲[著]浜久雄[訳] 明夷待訪録 明徳出版社
蕭   橘 清朝末期の孔教運動 中国書店
滝野 邦雄 李光地と徐乾学―康熙朝前期における党争 白桃書房
竹内 弘行 康有為大同思想の形成とその影響に関する研究 科学研究費研究成果報告書
丁文江・趙豊田[編]島田虔次[訳] 梁啓超年譜長編第1巻〉1873―1899 岩波書店
丁文江・趙豊田[編]島田虔次[訳] 梁啓超年譜長編第2巻〉1900―1907 岩波書店
丁文江・趙豊田[編]島田虔次[訳] 梁啓超年譜長編第3巻〉1908―1914 岩波書店
丁文江・趙豊田[編]島田虔次[訳] 梁啓超年譜長編第4巻〉1915―1922 岩波書店
長尾  剛 陽明学がわかる本―武士道の源流 PHP研究所
マテオ・リッチ[著]・柴田篤[訳] 天主実義 平凡社

八、近現代

阿部  洋 「対支文化事業」の研究戦前期日中教育文化交流の展開と挫折 汲古叢書
有田 和夫 近代のかたち―中国と日本 研文出版
片倉 芳和 宋教仁研究―清末民初の政治と思想 清流出版
蔡  焜燦 台湾人と日本精神(リップンチェンシン)―日本人よ胸をはりなさい 小学館
蔡  敏三 帰らざる日本人 桜の花出版
坂元ひろ子 中国民族主義の神話―人種・身体・ジェンダー 岩波書店
嶋田  明 現代は儒教思想に学べ 新風舎
蕭   橘 民国八大政治グループの新文化構想 中国書店
蕭   橘 近代中国の東西文化論 中国書店
銭  国紅 日本と中国における「西洋」の発見―19世紀日中知識人の世界像の形成 山川出版社
田雁[著]鈴木健一[訳] BLACKCHINA 中国黒社会 規範なき大陸の暗黒年代記― バジリコ
塚瀬 進 満洲の日本人 吉川弘文館
土屋 光芳 汪精衛と蒋汪合作政権 人間の科学新社
天児  慧 巨竜の胎動(毛沢東VS小平) 講談社
早瀬 利之 石原莞爾満州合国国家百年の夢を描いた将軍の真実 光人社
樊  秀麗 大凉山彝族における葬送儀礼と霊魂観を通してみた帰属集団意識の形成 勉誠出版
溝口 雄三 中国の衝撃 東京大学出版会
毛里 和子 現代中国政治 名古屋大学出版会
矢吹  晋 日中の風穴 勉誠出版
熊 十 力[著]吾妻重二[訳] 新唯識論 関西大学出版部
ラルフタウンゼント[著]田中秀雄・先田賢紀智[訳] 暗黒大陸中国の真実 芙蓉書房
渡辺利夫・朱 建 栄・寺島実郎[共著] 大中華圏―その実像と虚像 岩波書店

九、琉球・朝鮮

井上 秀雄 古代朝鮮 講談社
上田  雄 渤海国―東アジア古代王国の使者たち 講談社
木村  誠 古代朝鮮の国家と社会 吉川弘文館
全  栄来 百済滅亡と古代日本―白村江から大野城へ 雄山閣
任 東 権・竹田  旦[共著] 朝鮮通信使と文化伝播 第一書房
水野 直樹 生活の中の植民地主義 人文書院

十、日 本

阿部  洋 「対支文化事業」の研究―戦前期日中教育文化交流の展開と挫折 汲古書院
岩崎 允胤 日本近代思想史序説(明治期後篇下) 新日本出版社
大橋 良介 京都学派の思想―種々の像と思想のポテンシャル 人文書院
小野寺 満 思想史から見る日本の歴史 葦書房
子安 宣邦 伊藤仁斎の世界 ぺりかん社
衣笠 安喜 思想史と文化史の間―東アジア・日本・京都 ぺりかん社
末木文美士 近代日本の思想・再考(1)―明治思想家論 トランスビュー
末木文美士 近代日本の思想・再考(2)―明治思想家論 トランスビュー
高柳 俊哉 中江藤樹の生涯と思想―藤樹学の現代的意義 行人社
保立 道久 黄金国家東アジアと平安日本 青木書店
三田村信行 聖徳太子と仏教伝来 フレーベル館
宮城 公子 幕末期の思想と習俗 ぺりかん社
若尾 政希 安藤昌益からみえる日本近世 東京大学出版会

十一、書誌学

井上了〔解題〕 観生堂蔵書目録 寺下書店
気賀沢保規[著]明治大学文学部東洋史研究室[編] 唐代墓誌所在総合目録(明治大学東洋史資料叢刊)(新版)汲古書院

十二、その他

近藤正則・大谷光男・栗原圭介・小坂真二・小林竜彦・小林春樹・中村士・浜久雄・山下克明[共著] 若杉家文書『三家簿讃』の研究 大東文化大学東洋研究所

十三、補遺

孫文研究会[編] 辛亥革命の多元構造―辛亥革命90周年国際学術討論会(神戸)― 汲古書院


論 文

一、総  記

伊東 貴之 シンポジウム 宗教と中国国家 企画の趣旨―重層する歴史、中国の複雑多義性 中国・社会と文化19
奥田  尚 古代東アジアの歴史叙述に関する序説―『史記』を手がかりとして アジア文化学科年報7
郭  梨華 中国哲学的起源与本原之探求―「文」与「情」的哲学思惟 中国研究集刊36
片倉  望 道家の「自然」 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸先生退休記念論集』(東方書店)
加藤 千恵 道教における水の身体論 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
川合 康三 人生識字憂患始―中国読書人の憂愁 中国文学報67
久住  望 鬼神道について 古代文化を考える46
高坂 史朗 Philosophyと東アジアの「哲学」 人文研究55・8
顧  史考 古今文献与史家之喜新守舊 中国研究集刊36
坂出祥伸[談]浦山きか[筆] 『気』から中国思想を読み解く 鍼灸OSAKA別冊ムック1・1
坂出 祥伸 中国思想における身体と運動 身体運動文化3
佐藤 将之 中国思想史研究における国際交流への覚書―『戦国楚簡と中国思想史研究』特集号によせて― 中国研究集刊36
佐野 公治 「喫茶去」を読む―禅のことば― 中国古典研究49
周 桂 鈿[著]伊 藤 円[訳] 点・線・面―六十述学 中国思想史研究27
徐  水生 中国古代の智恵と先端科学―湯川秀樹を例とする 同志社哲学年報27
玉置 重俊 中国古代における神秘思想について 北海道情報大学紀要16・1
張 祥 竜[著]広瀬玲子[訳] 「哲学」の帰結と限界―ジョエル・トラヴァール「儒家の経験と哲学の言説」を読んで 中国・社会と文化19
陳 正 宏[著]後藤裕也[訳] 詩画合壁と近世中国士紳の社交方式 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
鄭 家 棟[著]松下道信[訳] 「中国哲学」の「合法性」について 中国・社会と文化19
鄭 家 棟[著]竹元規人[訳] 「中国哲学」及び中国の思想的伝統の現代における難局 中国・社会と文化19
中島 敏夫 歴史と神話への視座―疑古派禹天神論の検証からの再出発(下の1) 中国21・18
中島 敏夫 歴史と神話への視座―擬古派禹天神論の検証からの再出発(下の2) 中国21・20
中島 隆博 東アジア思想における伝統と近代―hetero-genealo-giesof”philosophy” 中国・社会と文化19
永渕 正是 皇帝の権威と儒家―孔子の位置づけをめぐって 中国思想史研究27
野間 文史 読五経正義札記(8)『景鈔正宗寺本春秋正義』について 東洋古典学研究17
野間 文史 読五経正義札記(9)足利学校遺蹟図書館蔵『附釈音春秋左伝注疏』について 東洋古典学研究18
早坂 俊広 「宋明思想」研究の現状と課題 中国・社会と文化19
平野  聡 宗教からみた中国国家―「世俗権力の合理性」とその限界を中心に 中国・社会と文化19
深津 胤房 古代中国人の思想と生活―「倫理」と「倫常」 二松学舎大学東洋学研究所集刊34
福井 重雅 儒家の勝利と法家の勝利 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
宮沢 正順 中国の思想と文学における無常観 小野塚幾博士古稀記念論文集『空海の思想と文化』
宮沢 正順 道教における人間の気・土地の気・食物の気について 宮林昭彦教授古稀記念論文集『仏教思想の受容と展開』
宮沢 正順 道教における瞑想について 印度学仏教学研究53・1
宮沢 正順 道教と密教 仏教文化学会十周年北条賢三博士古稀記念論文集『インド学諸思想とその周延』
モニカ・エスポジト[著]梅川純代[訳] 逆転した像―女丹の身体観 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸先生退休記念論集』東方書店
山口 久和 シノロジーの解剖(五)―著者・事柄・言説 人文研究55・4
山田雄一郎 『千字文』翻訳研究 広島修大論集人文編44・2

二、先  秦

浅井 茂紀 孔子の道徳哲学論―四徳(仁、義、礼、知)論を中心として― 千葉商大紀要42・3
浅野 裕一 上博楚簡『魯邦大旱』における刑徳論 中国研究集刊36
浅野 裕一 上博楚簡『容成氏』における禅譲と放伐 中国研究集刊36
浅野 裕一 諸子百家と新出土資料 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
浅野 裕一 孔子は『易』を学んだか 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
荒木日呂子 淮河流域における符号からみた世界観―賈湖、双、竜荘遺跡を中心にして 東洋大学中国哲学文学科紀要12
荒木日呂子 伊藤玄三氏所蔵卜骨四片について 白山中国学11
池田 知久 上海楚簡『孔子詩論』に現れた「豊(礼)」の問題―関雎篇評論における人間の欲望を規制するものとしての「豊(礼)」 東方学108
石田 秀実 荀子言語論の身体論的射程―類の自然内在性と約の間主観的ゲーム性 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
岩本 憲司 春秋経伝集解訳稿続篇(7)襄公25年 中国研究集刊35
袁  国華 上海博物館藏戦国楚竹書(二)》字句考釈 中国研究集刊36
落合  淳 殷・西周金文の起草 立命館東洋史学27
金谷  治 楚簡「性自命出」篇の考察 日本学士院紀要59・1
川田  健 是不与焉  「あづかル」のイメージ 東洋大学中国哲学文学科紀要12
黄川田 修 斉国始封地考―中国山東省蘇埠屯遺跡の性格 東洋学報86・1
小池 一郎 郭店楚簡『老子』校注(下) 言語文化6・3
高 大 倫[著]佐藤実[訳] 早期蜀文化にける日月神崇拝初探 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
小林 伸二 春秋時代の攻囲戦について 大正大学研究紀要人間学部文学部89
近藤 浩之 『戦国縦横家書』に見える蘇秦の活動に関する試論 中国哲学32
坂出 祥伸 思想の担い手としての「士」身分―特に先秦時代における 関西大学中国文学会紀要25 (坂出祥伸教授退休記念号)
坂本 頼之 『韓非子』における「知」の検討 東洋大学中国哲学文学科紀要12
佐藤将之・谷中信一・大西克也[共著] パネルディスカッション出土資料と中国学研究 中国研究集刊36
佐野 大介 経解上に現れたる「孝」における「愛」と「敬」との関係 懐徳72
沢田多喜男 郭店本『老子』攷(2) 東洋古典学研究17
沢田多喜男 『左氏伝』所見『詩』『書』攷―経学前史 東洋古典学研究18
城山 陽宣 先秦社会における「忠」思想の形成―中山王彝器銘文と郭店楚簡『忠信之道』を中心に 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
末永 高康 「殺盗非殺人」と「白馬非馬」 中国研究集刊35
末永 高康 物化小考 中国思想史研究27
末永 高康 帛書『刑徳』小考 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
菅本 大介 天と人との距離 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
竹田 健二 上博楚簡『恒先』における気の思想 中国研究集刊36
竹田 健二 人間の本性は善か悪か 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
田畑 久夫 槃瓠神話の変化 アジア遊学67
玉置 重俊 中国古代における神秘思想について 北海道情報大学紀要16・1
陳  鼓応 郭店簡本《老子》所呈現的重要哲学問題―由改写哲学史的觀点談起 中国研究集刊36
塚本 信也 先秦期における「笑」の語用論 集刊東洋学92
鄭  宰相 荀子の名実論―単名と兼名の問題を中心に 中国思想史研究27
寺西 光輝 無の心身論―老子における体験世界について(1) 名古屋大学中国哲学論集3
仲畑  信 『論語』不曰如之何章の解釈をめぐって 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
楢崎洋一郎 『荘子』斉物論篇における「彼」「是」の問題について 哲学年報63
西  信康 郭店楚簡『五行』の論述形式と符号―第二段落を中心に 中国哲学32
橋本 昭典 郭店楚簡『性自命出』における「情」について 中国研究集刊36
橋本 昭典 『荘子』における「真」と「性」と「情」―一般語義と思想の言語 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸先生退休記念論集』東方書店
福田 一也 帛書系『老子』の成立事情―荘子後学との関係を中心に 中国研究集刊35
福田 哲之 上博楚簡『中弓』における説話の変容―『論語』子路篇「仲弓為季氏宰」章との比較を中心に 中国研究集刊36
福田 哲之 諸子百家の時代の文字と書物 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
前田 繁樹 『老子化胡経』の説かれた場所 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
牧角(竹下)悦子 『詩経』の中のエロス―桃の夭夭たる 二松学舎大学東洋学研究所集刊34
増田 周作 「子曰、君子不器」章(論語、為政第二) 斯文112
室谷 邦行 『莊子』斉物論篇の「有始也者」章について(その2) 中国哲学32
森 雅子 夏・殷・周の建国神話とその主人公たち アジア遊学68
矢田 尚子 楚辞「離騒」における「上下」と「求索」 集刊東洋学91
谷津 康介 混沌への跳躍―『荘子』における解脱の思想 『中国思想における身体・自然・信仰-坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
山田 崇仁 『孟子』の成書時期について―N-gramと統計的手法を利用した分析 立命館東洋史学27
山根 泰志 左氏述作―春秋学 立命館文学587
湯浅 邦弘 出土竹簡の語る世界―特集号「戦国楚簡と中国思想史研究」の刊行― 中国研究集刊36
湯浅 邦弘 上博楚簡『従政』の竹簡連接と分節について 中国研究集刊36
湯浅 邦弘 上博楚簡『従政』と儒家の「従政」 中国研究集刊36
湯浅 邦弘 郭店楚簡『魯穆公問子思』釈文 科学研究費研究成果報告書
湯浅 邦弘 孔子の教えは政治の役に立つか 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
湯浅 邦弘 老子と道家 『諸子百家〈再発見〉―掘り起こされる古代中国思想』岩波書店
吉本 道雅 西周紀年考 立命館文学586
李  承律 上海博楚簡『容成氏』の堯舜禹禅譲の歴史 中国研究集刊36
劉   正 金文中の廟制に関する研究の一般的な見解と問題点 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
林  維民 詩経》服飾文化研究発凡 中国学研究論集13
林 啓 屏[著]上野 洋子[訳] 「民之父母」における〈五至〉について 中国研究集刊36
林 素英 上博簡〈民之父母〉思想探微―兼論其与〈孔子間居〉的関係 中国研究集刊36
和田和子 起源と痕跡―「聖人」と『荘子』の「道」について お茶の水女子大学中国文学会報23

三、秦・漢

秋山陽一郎 劉向本戦国策が内包する先行説話群について 立命館史学25
秋山陽一郎 孫徳謙劉向校讐学纂微訳注(2) 立命館東洋史学27
飯田 祥子 前漢後半期における郡県民支配の変化―内郡・辺郡の分化から 東洋学報86・3
池田 秀三 後漢黄老学の特性 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
市坪 昭仁 「象刑」説における応罪項目について 名古屋大学中国哲学論集3
井上  了 『礼記』経解篇の時期とその思想史的位置 種智院大学研究紀要5
井上  亘 『礼記』の文献学的考察―「册書」としての『礼記』 東方学108
岩野 忠昭 前漢後期の郊祭論 東洋大学中国哲学文学科紀要12
上田  武 謗書と曲筆―『史記』五宗世家をめぐって 新しい漢字漢文教育39
上谷 浩一 後漢政治史における鴻都門学―霊帝期改革の再評価のために 東洋史研究63(2)
上原 尉暢 『塩鉄論』試論 集刊東洋学92
内山 直樹 『史記』『漢書』の「書」「志」について―名称をめぐる瑣考 中国文化62
エノ・ギーレ 「郵」制攷―秦漢時代を中心に 東洋史研究63(2)
大川 俊隆 秦簡「虜」字考 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
大形  徹 博山炉と香―蓬莱山との関わりから― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
草野  靖 漢代における帝政の発展と選挙制度 九州大学東洋史論集32
工藤 卓男 『賈誼新書』の諸侯王国対策 日本中国学会報56
厳  善照 還精補脳術の形成と展開 東方宗教103
坂本具償・財木美樹[共訳] 『春秋繁露』訳注稿 考功名・通国身・三代改正質文・官制象天・堯舜不擅移湯武不専殺・服制・度制篇 高松工業高等専門学校研究紀要39
坂本頼之・岩野忠昭[共訳] 春秋繁露註釈稿(27) 東洋大学中国哲学文学科紀要12
三国時代出土文字資料研究班[共訳] 江陵張家山漢墓出土「二年律令」訳注稿その(1) 東方学報76
重信あゆみ 西王母信仰について―文献資料と出土資料から探る 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
庄   兵 『孝経鄭注』新辨 名古屋大学中国哲学論集3
城山 陽宣 賈誼『新書』の成立 日本中国学会報56
辛   賢 後漢易学の終章―鄭玄易学を中心に 東方学107
武田 時昌 王充の性命論と科学知識 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
張  軼欧 卓文君の人物像の歴史的変遷 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
津田 資久 漢魏交替期における『皇覧』の編纂 東方学108
中村 璋八 五行学説に関連して 斯文112
仲山茂・佐藤 直人[共訳] 銀雀山漢簡『守法守令等十三篇』訳註(二) 名古屋大学東洋史研究報告28
畠山  薫 趙岐『孟子章句』の成立とその背景 集刊東洋学92
馬場理恵子 「術数」概念の成立と漢代学術 京都女子大学大学院文学研究科研究紀要・史学編3
福田 高徳 内経医学に於ける中と三焦 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
藤田  忠 後漢・明帝の治世策について―光武十王列伝を中心にして 集刊東洋学92
保科 季子 漢代の女性秩序―命婦制度淵源考 東方学108
牧角 悦子 中国的「愛」のかたち―劉向『列女伝』に見る女性観をめぐって 生活文化研究所年報17
増田 知子 『史記』の学習―「管鮑の交り」 中国学論集36
宮川 浩也 『内経』の「三部所傷」および「傷蔵」について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
宮宅  潔 張家山漢簡《二年律令》解題 東方学報76
遊佐  昇 成都・厳真觀と信仰―厳君平への信仰をめぐって 東洋大学中国哲学文学科紀要12
和順 法言摸倣考 北海道大学文学研究科紀要114
頼住 光子 中国仏教における「因果」観念の展開に関する覚書―後漢より南北朝期にいたる「因果」観念の諸相について お茶の水女子大学人文科学紀要57

四、魏・晋・南北朝

安東  諒 『文心雕竜』雑説(序志) 中国中世文学研究45・46
伊吹  敦 『法句経』の思想と歴史的意義 東洋学論叢29
上田  武 陶淵明の「勧農」詩と農家思想 中国文化62
祁  小春 従《蘭亭序》的真偽論及六朝士族的避諱 中国言語文化研究4
小林 佳廸 「桃花源記」の具現化現象―桃源県における文化景観をめぐって 中国文化62
小林 正美 霊宝斎法の成立と展開 東方宗教103
小松 英生 西晋謝尚伝―『晋書』謝尚伝訳注 中国中世文学研究45・46
坂内 千里 『説文解字伝』引『易』考 言語文化研究30
坂下由香里 『列子』張湛注における「理」について 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
佐藤  賢 北魏内某官制度の考察 東洋学報86・1
清水 凱夫 梁元帝蕭繹『金楼子』中の自序篇について―「不閑什一」・「大寛小急」の解釈 学林40
大地 武雄 陶淵明の分身化 二松学舎大学東洋学研究所集刊34
高城  梓 僧肇の十地思想―『注維摩詰経』を中心として 集刊東洋学91
鷹橋 明久 阮籍と山濤 中国中世文学研究45・46
竹田  晃 人と学問六朝志怪研究とその周辺 中国・社会と文化19
立石 広男 占筮者郭璞―卜筮者尚其占― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
西川 靖二 王弼の『易』解釈における「卦主」について(上) 竜谷紀要24・2
西川 靖二 王弼の『易』解釈における「卦主」について(中) 竜谷紀要25・2
西川 靖二 王弼の『易』解釈における「卦主」について(下) 竜谷紀要26・1
野田 俊昭 東晋時代における孝と行政 九州大学東洋史論集32
春本 秀雄 北魏の法難と太武帝について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
春本 秀雄 寇謙之と『老君音誦誡経』―「山田氏再反論」の誤謬 大正大学研究紀要人間学部文学部89
傅  剛[著]
大村 和人[訳] 『玉台新詠』の編纂について 中国・社会と文化19
藤井 教公 中国六朝仏教における『涅槃経』の受容 印度哲学仏教学19
堀池 信夫 王玄覧の肖像 新しい漢字漢文教育38
丸山  宏 霊宝法の錬度科儀に見える生死論について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
宮沢 正順 曇鸞『調気論』の注解者王劭と聖武天皇『雑集』中の王居士の関係 佐藤成順博士古稀記念論文集『東洋の歴史と文化』
麦谷 邦夫 華陽隠居への道―若き日の陶弘景と草創期の茅山 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
向嶋成美・坂口三樹・門脇広文[共著] 『桃花源記』を読み直す―いくつかのキーワードを軸に 中国文化62
森野 繁夫 謝霊運の山水描写と「自然の理」 中国中世文学研究45・46
山田 明広 道教斎における自虐的行為の効能およびその衰退について―塗炭斎を中心として 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
山田 利明 北魏道教の一側面 東洋大学中国哲学文学科紀要12

五、隋・唐

相田  満 幼学書のひろがり―台湾故宮博物院蔵平安期古鈔本『蒙求』の意義と特質 アジア遊学68
新井 慧誉 房山石経の『父母恩重経』の『古本』新資料〈房4〉房5〉房7〉について 二松学舎大学東洋学研究所集刊34
荒見 泰史 敦煌文献に見られる『目連変文』の新資料―北京8719号文書について 東方宗教103
伊藤美重子 敦煌の通俗類書「新集文詞九経抄」について―「老子」「荘子」の引用例の検討 お茶の水女子大学人文科学紀要57
石見 清裕 入唐日本人「井真成墓誌」の性格をめぐって―中国唐代史の立場から見ると アジア遊学70
浦山 きか 『黄帝蝦蟇経』について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
王 葆 玄[著]福岡さち子[訳] 「重玄之道」と「玄冥之境」―玄学の歴史的下限が唐代に至ることに関する証明 東洋文化研究6
奥村佳代子 「訳家必備」とその語彙について―写本資料からみた唐話の一端 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
落合 俊典 唐代における金剛般若経の注釈書について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
加藤 国安 孟浩然と天台山―霊山での至高経験 東洋古典学研究18
河内 春人 『新唐書』日本伝の成立 東洋学報86・2
川本 芳昭 隋書倭国伝と日本書紀推古紀の記述をめぐって―遣隋使覚書 史淵141
斎藤 智寛 『宝林伝』の宗教世界―「無修」と「因果」― 集刊東洋学92
柴田 泰山 善導『観経疏』所説の「定散二善」について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
砂山  稔 仙女と仙媛―沈宋の文学と道教 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
高野 淳一 菩薩への道―吉蔵『大乗玄論』の理論 岩手県立大学盛岡短期大学部研究論集6
高橋 秀治 唐代の医学思想と道教―司馬承禎の服気と医学 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
土屋 昌明 宮中の道教と妓女と詩人 アジア遊学60
樊 光春[著]石田志穂[訳] 唐代長安の道観 アジア遊学60
福島  正 天書始末記 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
堀池 信夫 二つの「抄本」―『老子玄宗注』考― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
堀池 信夫 『注』の「妙本」・『疏』の「妙本」―唐玄宗『老子注疏』への一視点 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
牧野 和夫 幼学書類の「発掘」とその持つ可能性について―『孔子項託相問書』の世界 アジア遊学68
南沢 良彦 則天武后の明堂について 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
山崎 覚士 五代の道制―後唐朝を中心に 東洋学報85・4
李 芳民[著]阿純章[訳] 唐代長安の仏寺に遊ぶ―紅葉の寺遊詩興多し― アジア遊学60
渡辺志津夫 韓愈年譜考―四門博士就任時期の考察を通じて 中国学研究論集13

六、宋・金・元

吾妻 重二 朱熹の中央権力批判―王淮・留正・趙汝愚および慶元党禁をめぐって 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
吾妻 重二 朱熹の鬼神論と気の論理 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
飯山 知保 金初華北における科挙と土人層―天眷2年以前を対象として 中国・社会と文化19
市来津由彦 朱熹の「知覚」説 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
市来津由彦 朱熹における「士」意識と「学」 東洋古典学研究18
市来津由彦 徽宗時代の儒教を考える アジア遊学64
井沢 耕一 王安石と欧陽脩 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
井沢 耕一 王安石鍾山隠棲考―信仰、著述、交遊からみた王安石の晩年― 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
井沢 耕一 王安石『詩義』に関する一考察―朱熹の『詩』解釈との関わりにおいて 詩経研究29
井沢 耕一 王安石学派の興隆と衰退―蔡卞と秦檜― 日本中国学会報56
石田 憲司 正一教について―元代における正一教の起源を尋ねて 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
伊原  弘 徽宗とその時代―その再検討のために アジア遊学64
浦山 久嗣 『難経集註』について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
岡  元司 沿海地域社会を歩く―南宋時代温州の地域文化が育まれた空間 アジア遊学70
尾崎 正治 古刊『首楞厳義疏注経』私考 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
恩田 裕正 『朱子語類』巻九十三訳注(4) 汲古45
恩田 裕正 『朱子語類』巻九十三訳注(5) 汲古46
木下 鉄矢 朱子学の位置(12)「中国」の現実 1 東洋古典学研究17
木下 鉄矢 朱子学の位置(13)「中国」の現実 2 東洋古典学研究18
黄 寛 重[著]妹尾 達彦[訳] 台湾海峡の両岸における宋代史研究の回顧と展望 中国・社会と文化19
近藤 正則 理・気と包摂の思想―程朱学の思惟基調 長良アカデミア7
斎木 哲郎 王安石の経学と『春秋』緒論 鳴門教育大学研究紀要(人文社会科学編)19
斎木 哲郎 孫復の春秋学とその尊王思想 中国哲学32
佐藤  仁 「江州陳氏」について 東洋古典学研究17
佐藤 成順 『仏祖統紀』の校正者について―南宋末仏教界の動向― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
佐藤 友香 『林泉高致』に見える制作態度 東洋大学中国哲学文学科紀要12
朱  海浜 近世浙江の胡則信仰 東洋学報86・2
鈴木 健郎 白玉蟾の雷法説 東方宗教103
太平広記研究会[共訳] 『太平広記』訳注(4)巻三百八十八「悟前生」(2) 中国学研究論集13
高橋 文治 山西省城県李庄文廟金元三碑 大阪大学大学院文学研究科紀要44
滝  康秀 林希逸『老子斎口義』と彭耜『道徳真経集註』 漢文学解釈与研究7
土田健次郎 「万物一体の仁」再考 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
奈良 行博 道教護法神・王霊官―その信仰の展開 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
野口 善敬 元代における五山十刹の位次 禅文化研究所紀要27
野口 善敬 径山の憂鬱―元叟行端とその禅 駒沢大学禅研究所年報16
広田 宗玄 大慧宗杲の邪禅批判の諸相―「弁邪正説」の検討を通して 禅文化研究所紀要27
福井 文雅 『雲笈七籤』巻四「上清源統経目註序」管窺 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
藤本  猛 武臣の清要―南宋孝宗朝の政治状況と閤門舎人 東洋史研究63・1
馮 錦 栄[著]梅川 純代[訳] 宋代における天文学の国家的庇護と制御 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
松井  太 モンゴル時代のウイグル農民と仏教教団―U5330 (=USp77)文書の再検討から 東洋史研究63・1
松井  太 モンゴル時代の度量衡―東トルキスタン出土文献からの再検討 東方学107
松下道信 白玉蟾とその出版活動―全真教南宗における師授意識の克服 東方宗教104
松本 浩一 徽宗と道教政策 アジア遊学64
松本 浩一 宋代を中心としてみた都市の祠廟の変遷 都市文化研究4
丸山  宏 道教儀礼の出官啓事に関する諸問題 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
三沢三知夫 楊簡の経解法―『楊氏易伝』を中心として- 日本中国学会報56
溝本 章治 朱子人間形成論における体用循環の論理―「体立ちて後用以て行わるる有り」の意味― 哲学56
三田村圭子 宋代以降の道士における『老子』注について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
宮崎順子 元刻本『塋原総録』の書誌的考察 東方宗教104
宮崎 聖明 北宋前期における官制改革論と集議官論争―元豊官制改革前史 東洋学報86・3
山口 智哉 地方の士大夫と郷飲酒礼 アジア遊学64
遊佐  昇 玉局觀をめぐる社会と信仰 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
劉長東・陳暁琴・土屋太祐[共訳] 本命信仰論 禅文化研究所紀要27
林  鳴宇 宋代天台における禅宗批判の諸相―『釈門正統』・『仏祖統紀』を中心に 禅文化研究所紀要27

七、明・清

会谷佳光 『永楽大典』本「四庫闕書」初探 橄欖12
浅野 春二 台湾南部の奠安土府酉焦について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
荒木 見悟 仏教居士としての陸光祖 名古屋大学中国哲学論集3
石井  剛 梁啓超の清代学術論における西学的要素の評価について 中国・社会と文化19
石井  剛 戴震の学術思想における「聖人」の作用について 中国哲学研究20
井沢耕一・橋本昭典[共訳] 周予同注 皮錫瑞『経学歴史』全訳(十八) 千里山文学論集71
井沢耕一・橋本昭典[共訳] 周予同注 皮錫瑞『経学歴史』全訳(十九) 千里山文学論集72
稲葉 一郎 銭大と『乾隆県志』 東洋史研究63・2
井上  徹 霍韜による宗法システムの構築―商業化・都市化・儒教化の潮流と宗族 都市文化研究3
海野 洋平 唐順之と書傭・胡貿―明代嘉靖年間の書籍編纂事業に於ける傭書の役割 汲古45
王   笛[著]
小野寺史郎[訳] 茶館・茶房・茶客―清末民国期の中国内陸都市における公共空間と公共生活のミクロ的研究― 中国・社会と文化19
大谷 敏夫 清末経世学と経世思想―幕末から明治にかけての日本の学術・思想の変遷と比較して アジア文化学科年報7
加藤聡・小林春代・高橋文治・谷口高志・富永鉄平・西尾俊・藤原 祐子[共訳] 成化本『白兔記』訳註稿(2) 中国研究集刊35
金原 泰介 康煕年間における陽明学批判の流行―熊賜履の影響力を中心に 東方学107
蒲地 典子 日清戦争と極東の新世界秩序 中国・社会と文化19
川勝 賢亮 明太祖の儒・仏・道三教政策の基調 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
神崎  繁 魂の位置―十七世紀・東アジアにおけるアリストテレス『魂論』の受容と変容 中国・社会と文化19
金   俊 康有為の宗教観と大同思想 史学研究244
藏中  進 『箋注和名類聚抄』と清朝学術(その1)『康熈字典』『佩文韻府』『駢字類編』をめぐって― 東洋研究153
黒岩  高 「学」と「教」―回民蜂起に見る清代ムスリム社会の地域相 東洋学報86・3
高遠 拓児 清代秋審制度の機能とその実態 東洋史研究63・1
孔 祥 吉[著]馮青[訳] 清末の外交家伍廷芳と日本の関係 中国研究月報58・11
合山  究 明清時代の女性文芸における男性志向について―「巾幗の気」の除去と「鬚眉の気」の獲得― 九州中国学会報42
小林  武 章炳麟と姉崎正治―『書』より『斉物論釈』にいたる思想的関係 東方学107
坂本 健人 李鴻章の「保船制敵」戦略に関する一考察 文研会紀要15
佐藤  実 劉智の四行と五行 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
佐野 公治 明代嘉靖年間の講学活動 陽明学16
下見 隆雄 藍鼎元『女学』の研究(6) 東洋古典学研究17
下見 隆雄 藍鼎元『女学』の研究(7) 東洋古典学研究18
柴田  篤 『天主実義』の出版 哲学年報63
白井  順 『性命圭旨』書誌考 東方宗教104
水上 雅晴 阮元と『十三経注疏校勘記』―『儀礼』の校勘を中心に 中国哲学32
水上雅晴・金原泰介[共著] 顧炎武『日知録』科擧編議(4)制科・甲科 中国哲学32
須山 哲治 斯道文庫所蔵明刻本『史記題評』書入れ『史記正義』佚文の研究(上) 斯道文庫論集38
須山 哲治 斯道文庫所蔵明刻本『史記題評』書入れ『史記正義』佚文の研究(中) 斯道文庫論集39
園田 節子 改革と教化のはざま―清末の南北アメリカにおける華民中文教育のメカニズム 中国・社会と文化19
高柳 信夫 梁啓超と「中国思想」 中国・社会と文化19
田口 一郎 マッテオ・リッチの記憶術―『西国記法』訳注(一) 人文科学研究115
竹内 弘行 康有為『大同書草稿』訳注(4) 名古屋大学中国哲学論集3
檀上  寛 明代海禁概念の成立とその背景―違禁下海から下海通番へ 東洋史研究63・3
陳  継東 清末における「哲学」の受容 中国・社会と文化19
鶴成 久章 明代の受験事情―『端厳公年譜』を読む― 福岡教育大学紀要53
鶴成 久章 明代士大夫の儒教的教養の形成過程について―童子試との関係を中心に― 三島海雲記念財団研究報告書41
永冨 青地 王守仁の語録について 李四竜・周学農主編『哲学、宗教与人文』商務印書館
永冨 青地 関于《王守仁良知同然録》的初歩研究 陳祖武主編『明清浙東学術文化研究』社会科学出版社
永冨青地・水野  実[共著] 『陽明兵筴』の基礎的研究(4) 人文社会科学研究44
中村  聡 『天道溯原』訳註稿(1) 東洋大学中国哲学文学科紀要12
中村  聡 玉川大学蔵『天道溯原』について 東洋大学中国学会報10
中村  聡 19世紀入華宣教師著作文献に見られる特色―神(God)をどのように中国人に伝えようとしたのか― 玉川大学文学部紀要・論叢44
二階堂善弘 蘇州玄妙観の十二天君について 東洋大学中国哲学文学科紀要12
二階堂善弘 明清期における仏教神像の変容―四天王像を中心に― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
范 金 民・松田吉郎[共著] 明清地域商人と江南都市文化 都市文化研究3
本多 道隆 紫柏達観研究序説 東洋古典学研究17
本多 道隆 不離文字の禅―紫柏真可が志向するもの 東洋古典学研究18
松村  昂 祝子、怪を語る―『語怪』から『罪知録』へ 日本中国学会報56
森  宏之 湛若水の思想―白沙思想の継承と展開 九州中国学会報42
山口るみ子 梁啓超「東籍月旦」に見る西洋近代思想受容の態度と倫理思想 東洋大学中国哲学文学科紀要12
山本  進 清代の雑税と牙行 名古屋大学東洋史研究報告28
吉田  純 自珍の小学―青春と学問と― 名古屋大学文学部研究論集・哲学50

八、近現代

吾妻 重二 民国期中国における「哲学」と「玄学」―熊十力哲学の射程 中国・社会と文化19
鐙屋  一 日本の「文革」研究―「あばたもえくぼ」の心理学― アジア遊学65
阿部 兼也 施霖氏(魯迅の仙台時代の同宿者)のその後 東洋大学中国哲学文学科紀要12
池田 知久 李鏡池と現代の『周易』研究 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
石川 禎浩 中国共産党第二回大会について―党史上の史実は如何に記述されてきたか 東洋史研究63・1
石川啓二・孫朝珍[共著] 中国の「文化大革命」期の教育の虚像と実像(3) 山梨大学教育人間科学部紀要6
易  友人 文化大革命期の言語現象 アジア遊学65
王  順生 毛沢東と小平―毛の寵愛の下で― アジア遊学65
王  麗栄 中日近現代以来道徳教育改革的歴史考察及其思考 創大中国論集7
緒形  康 哲学の運命―胡適とデューイ 中国・社会と文化19
緒形  康 中国現代思想1991~2003 現代中国78
緒形  康 現代中国における国家と社会 神戸大学史学年報19
夏   剛 「M(毛沢東)感覚・C(中国)感覚」と「J(日本)感覚・I(国際)感覚」の多変数―地球化(グローバル)時代の東北亜細亜を読み解く新機軸の試掘―88の鍵言葉(キーワード)の横串を糸口に(序説1) 言語文化研究
15・3
木村 知実 民国初の教育会議と教育宗旨―蔡元培の美育提唱から魯迅による実践へ 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
喬  志航 王国維と「哲学」 中国哲学研究20
姜  克実 儒学思想と近代日本社会 岡山大学文学部紀要42
孔 祥 吉[著]箱田恵子[訳] 戊戌前後における孫中山と劉学詢の関係について 孫文研究36
呉  懐中 1920年代後半における大川周明の中国認識―満蒙問題対策との関連の視角から 中国研究月報58・1
国分 典子 東アジアにおける西洋法思想の受容と進化論 北大法学論集54・6
胡   軍[著]石井  剛[訳] 「境地」に関する理論の伝統性と論理的分析方法の近代性との間で―馮友蘭「新理学」の方法論に関する考察 中国・社会と文化19
ジョエル・トラヴァール[著]広瀬 玲子[訳] 中国現代哲学という制度の「パルマコン」作用―張祥竜教授に答える 中国・社会と文化19
ジョエル・トラヴァール[著]広瀬 玲子[訳] 儒家の経験と哲学の言説―現代新儒学におけるいくつかのアポリアについての省察 中国・社会と文化19
斎藤 智寛 訳注・郭斉勇「形式抽象の哲学と生命体験の哲学」 文化366・367
関  清孝 訳注・翻訳黄侃「爾雅略説」訓注(1) 大東文化大学中国学論集21
高橋  俊 上海事変をめぐる報道と上海人アイデンティティの形成―上海における社会・文化変容を通じて 東方学107
高橋 祐三 民主諸党派を通して見る文化大革命―林彪事件と四人組逮捕の影響― アジア遊学65
武上真理子 孫文とアメリカ独立宣言―『中国問題の真の解決』における「ユートピア」像 孫文研究35
陳  朝輝 魯迅と上田進―魯迅の日本プロレタリア文学受容に関する一考察 東方学107
辻  康吾 文化大革命再考―その「通奏低音」を探る アジア遊学65
董  上徳 試論顧頡剛先生的「故事流変」研究 文学研究101
中島  宏 大寨・延安の旅―中国の変貌を象徴 中国研究月報58・11
中島 隆博 胡適と西田幾多郎―哲学の中国、哲学の日本 中国・社会と文化19
中村 哲夫 中国革命における孫文の領導権―初期革命運動と馮自由の歴史叙述 孫文研究36
西沢 治彦 民レベルからみた中国のイスラム―南京市の回族の調査から 中国・社会と文化19
野田 善弘 民国時期の東南大学について(中) 東洋古典学研究17
野間 信幸 張文環作品に表れたる漢文教養 東洋大学中国哲学文学科紀要12
早坂 俊広 馬一浮「泰和宜山会語」訳注(2) 信州大学人文学部人文科学論集38
坂野 良吉 五四観の諸相と五四の文化論的主題について―一九二〇、三〇年代の五四観を中心に 名古屋大学東洋史研究報告28
樋口  勝 馮契に見る善と道徳―牧口価値論との比較 創大中国論集7
広瀬 玲子 革命 思潮 運動―梁啓超と胡適 中国・社会と文化19
広瀬 玲子 王国維における歴史性―連続としての歴史/断絶としての歴史 人文科学年報34
船引 一乗 胡適の提唱した「整理国故」運動の二つの側面 中国言語文化研究4
文  楚雄 中国のことばと文化・社会(4)弟子規》の漢字啓蒙教育と儒教文化の伝承 立命館産業社会論集40
麻  国慶 「家」の再構築―中国における宗族組織とその復興―日本の同族との比較 慶応義塾大学日吉紀要・言語・文化・コミュニケーション・32
松本 浩一 台湾北部紅頭道士の祭解 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
丸山  宏 宗教と中国国家―四川と雲南における彝族の民間信仰からの視点 中国・社会と文化19
丸山  昇 最近の魯迅論議から考える(下) 季刊中国76
溝口 貞彦 最近中国の教育について 新しい漢字漢文教育38
熊 十 力[著]郭斉勇・吾妻重二[共訳] 熊十力の唯識仏教批判 関西大学東西学術研究所紀要37
遊佐  徹 大清国「黄竜旗」と20世紀の中国「国旗」 文化共生学研究2
遊佐  徹 「地図」への視線と中国近代 岡山大学文学部紀要41
楊  春華 中国の「一人っ子」の家庭教育に関する研究―家庭教育についての文献分析を中心に 文研会紀要15
楊  鳳城 文革期の知識人―その苦悩と心理― アジア遊学65
楊鳳城・魏旭斌[共著] 中国大陸史学界の文革研究―概況と評価― アジア遊学65
横打 理奈 胡適の『詩経』解釈にみる文学観 東洋大学中国哲学文学科紀要12
吉田 富夫 『紅灯記』移植と文化大革命 アジア遊学65
吉村 拓三 文革期毛沢東と中共指導幹部の意思疎通チャネル―「信訪制度」の役割とその限界 中国研究月報58・11
李   燕 現代中国の「陶行知学校」 創大中国論集7
林  義強 章炳麟における排満思想の形成とアイデンティティの変容 東洋文化研究所紀要146

九、琉球・朝鮮

伊藤 英人 刊経都監訳経僧の白話解釈と翻訳をめぐって―『蒙山法語』諺解の分析 朝鮮学報193
小熊  誠 沖縄の家譜 アジア遊学67
川原 秀城 権近と朱子学 アジア遊学70
韓 永 愚[著]平木葉子[訳] 朝鮮時代における『儀軌』の編纂とその資料的価値 朝鮮学報190
厳  基珠 長安を訪れた新羅の人―金仁問、金可紀、崔致遠の場合― アジア遊学60
鈴木 信昭 朝鮮儒学者李光の世界地理認識 朝鮮学報192
高津  孝 海をわたる贋作たち―琉球ルートを伝わったもの アジア遊学70
武田 幸男 「広開土王碑」墨本の基礎的研究 東方学107
橋本  繁 金海出土『論語』木簡と新羅社会 朝鮮学報193
真栄平房昭 清代中国における海賊問題と琉球―海域史研究の一視点 東洋史研究63・3
丸山 顕徳 沖縄県伊江島の鬼の伝承―鬼から竜への転換― アジア遊学59
山内 弘一 朝鮮儒教と書院(其之2) 漢文学解釈与研究7
依田千百子 朝鮮の英雄を支えた賢者―三国統一の英傑・金庚信 アジア遊学70
李  豪潤 一九世紀の「対外危機」における朝鮮王朝の思想的反応―崔益鉉の思想を中心に 立命館文学582
李文雄・都知美[共著] 血縁観の持続と変容―現代韓国の親族関係 都市文化研究3

十、日  本

吾妻 重二 道明寺天満宮「釈奠」参列の記 泊園43
荒川  紘 儒教教育の日本的展開 静岡大学人文論集55・1
石川 泰成 漢文訓読史における貝原点の位置 新しい漢字漢文教育38
井上  了 懐徳堂学派における『論語集注』擁護の一例―憲問篇「陳成子弑簡公」条引胡氏説を例として― 懐徳72
井上  了 大阪府立中之島図書館蔵『毛詩品物図攷雕題』について 懐徳堂センター報2004
牛見 真博 長州の漢学 新しい漢字漢文教育39
宇高 良哲 江戸における法然上人への布教活動―二十五霊場と御忌を中心に― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
内村 嘉秀 中林梧竹の書論とその特質 新しい漢字漢文教育39
王  宝平 明治前期に来日した中国文人考 二松学舎大学東洋学研究所集刊34
大久保紀子 儒教の社会化に関する一考察―『黙斎先生家礼抄略』を例に お茶の水女子大学人文科学紀要57
大島  晃 林羅山の『大学諺解』について―その述作の方法と姿勢 漢文学解釈与研究7
大島  晃 先学の風景―人と墓山井崑崙 漢文学解釈与研究7
太田  亨 日本禅林における杜詩受容について―中期禅林における杜甫画図賛詩に着目して 中国中世文学研究45・46
狩野 充徳 太宰春台『倭読要領』の「撥音法」と『文選音決』の音注 中国中世文学研究45・46
川嶋 将生 江戸時代前期における朝儀の復活―御七日御修法の再興をめぐって 立命館文学587
桐原 健真 「論争の書」としての『講孟余話』―吉田松陰と山県太華、論争の一年有半 歴史評論645
小林 和彦 多久聖廟について―多久茂文「文廟記」に関連して 『中国思想における身体・自然・信仰―坂出祥伸教授退休記念号』東方書店
近藤 正則 「言志四録」の士道論 新しい漢字漢文教育39
近藤 正則 佐藤一斎『言志録』のモチーフ―「知言」と「立志」 岐阜女子大学紀要33
近藤 正則 一斎の「立志」 季刊『文』76
斉藤 智朗 井上毅の『仏訳四書』序文和訳―西洋における中国思想研究史料の紹介・分析 国学院大学日本文化研究所紀要93
坂出 祥伸 岡倉天心と道教(覚書) 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
清水  徹 伊藤仁斎の初期思想―思想内容を中心に 東洋文化93
白石 真子 太宰春台の「読詩」の要領―『論語古訓外伝』を通して見る『詩』と孔子 漢文学解釈与研究7
鈴木 保実 中江藤樹五事考―「視・聴・言・動・思」と「貌・言・視・聴・思」をめぐって― 道徳と教育318・319
鈴木 保実 中江藤樹の孝信仰と良知 古川治博士追悼集刊行会編『古川治先生を偲ぶ』
孫  傑生 試論唐通事与唐話的伝播在中日交流史上的価値 創大中国論集7
高野淳一・狭間直樹・田沢晴子[共著] 新史料紹介―吉野作造旧蔵史料を中心に― 吉野作造記念館研究紀要1
田沢 晴子 郷里意識からの脱却―『吉野作造日記』中国天津時代からヨーロッパ留学時代についての検討― 吉野作造記念館研究紀要1
田尻祐一郎 荻生徂徠『論語弁書』をめぐって 東洋古典学研究18
舘野 正美 吉益東洞『医方古言』の文献学的研究―『古書医言』研究の一環として― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
張  竜竜 横井小楠の学問観の変遷に対する一考察 名古屋大学中国哲学論集3
土屋 昌明 平田篤胤の幽冥観と道教・神仙思想 人文科学年報34
寺門日出男 中井履軒撰『漢書雕題』について 中国文化62
陶  徳民 張謇与内藤湖南及西村天囚―内藤文庫所収未刊書信考証(一) 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
陶  徳民 内藤湖南における『支那論』の成立ち―民国初期の熊希齢内閣との関連について 東方学108
長尾 直茂 江戸時代の漢詩文に見る羽扇綸巾の諸孔明像―『三国志演義』との関連において 漢文学解釈与研究7
中川 和明 平田篤胤の『俗神道大意』の形成と刊行 東洋文化93
野村 真紀 近世日本における儒仏一致論とその展開 北大法学論集55・3
長谷川潤治 井上円了の原風景を読む―稿本『詩冊』を中心に 東洋大学中国哲学文学科紀要12
林田 康順 『領解末代念仏授手印抄』をめぐる一考察―機辺の三心― 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
東  英寿 『漢学紀源』の編纂過程について―佐藤一斎が見た『漢学紀源』 鹿大史学51
平野 敬和 吉野作造のアジア―第一次世界戦争から国民革命の終結まで― 吉野作造記念館研究紀要1
帆刈喜久男 小田穀山について 斯文112
松川 健二 三島中洲の理気論 陽明学16
松川 健二 渋沢青淵における『論語』の普及活動 陽明学16
松本 郁代 中世の「礼服御覧」と袞冕十二章―天皇即位をめぐる儀礼と王権 立命館文学587
宮沢 正順 空海の『三教指帰』を読む 大法輪6
宮沢 正順 『法然上人伝記』(醍醐本)と義演準后について 高橋弘次先生古稀記念論文集『浄土学仏教学論集』
麦谷 邦夫 竹中通庵『古今養性録』と貝原益軒『頤生輯要』『養生訓』 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
山田 潤治 呂不韋の評価と荻生徂徠のロマン主義について 宮沢正順博士古稀記念 東洋―比較文化論集―
湯川 敬弘 西周と漢学その師友と大坂の儒学 漢文学解釈与研究7
吉田 公平 東敬治主幹『陽明学』に於ける春日潜庵 東洋古典学研究18

十一、書誌学

秋月 観暎 書評・岡崎文夫著『隋唐帝国五代史』 新しい漢字漢文教育38
吾妻 重二 BookReview術数理論と中国のパラダイム―辛賢著『漢易術数論研究―馬王堆から『太玄』まで』 東方276
吾妻 重二 『続修四庫全書』と四庫関連叢書 関西大学図書館フォーラム9
池田光子・黒田秀教[共著] 新出土資料関係文献提要(4) 中国研究集刊35
池平 紀子 書評・兆光著『屈服史及其他―六朝隋唐道教的思想史研究』 東方宗教104
井上  了 竜野文庫蔵懐徳堂関係文献簡介(一) 懐徳堂センター報2004
井上  了 大阪大学懐徳堂文庫蔵「北山文庫続」暫定目録 懐徳堂センター報2004
江村 治樹 紹介黄錫全著『先秦貸幣通論』 東洋史研究62・4
大内 文雄 書評・藤善真澄著『道宣伝の研究』 東洋史研究62・4
岡本 隆司 書評・丁文江・趙豊田編、島田虔次編訳『梁啓超年譜長編』 東洋史研究63・1
尾崎  勤 「怪奇鳥獣図巻」と中国日用類書 汲古45
落合 俊典 書評・新刊紹介菊地章太著『弥勒信仰のアジア』 東方宗教103
尾上 兼英 書評・山本七平著『論語の読み方』 新しい漢字漢文教育39
蔭山 雅博 書評・小林善文著『近代中国における教育の普及と改革に関する研究』 東洋史研究63・1
神塚 淑子 書評・新刊紹介前田繁樹著『初期道教経典の形成』 東方宗教104
川尻 文彦 書評・吉沢誠一郎『愛国主義の創成―ナショナリズムから近代中国をみる』 現代中国研究14・15
川村  康 書評・滋賀秀三著『中国法制史論集―法典と刑罰』 東洋史研究63・1
久保純太郎 書評・嵯峨隆著『戴季陶の対日観と中国革命』 神戸大学史学年報19
小島  毅 書評・三浦秀一著『中国心学の稜線―元朝の知識人と儒道仏三教』 集刊東洋学92
小林 正美 文献目録道教関係著書論文目録(2003(平成15)年) 東方宗教104
斎木 哲郎 書評・新刊紹介向井哲夫著『淮南子と諸子百家』 東方宗教104
斎藤 道彦 書評・最近の日本における蒋介石関係の書籍3点―黄仁宇『蒋介石マクロヒストリ―史観から読む蒋介石日記』保阪正康『蒋介石』家近亮子『蒋介石と南京国民政府中国国民党の権力浸透に関する分析』 季刊中国77
坂出 祥伸 書評・新刊紹介山田利明他著『シリーズ道教の世界』一―五 東方宗教104
辛   賢 書評・新刊紹介池田知久他編訳『占いの創造力―現代中国周易論文集』 東方宗教103
末木 恭彦 書評・土田健次郎著『道学の形成』を読む 駒沢大学文化22
曾田 三郎 紹介耿雲志等著『西方民主在近代中国』 東洋史研究63・2
高田 時雄 書評・栄新江著『中古中国与外来文明』 東洋史研究63・1
高橋智・高山節也・山本  仁[共著] 漢籍目録編纂における準漢籍の扱いについて 汲古46
高橋 良政 和刻本「韓詩外伝」の書誌的考察―勝村本について 斯文112
田尻祐一郎 書評・黒住真著『近世日本社会と儒教』 歴史評論655
田中 文雄 書評・岸田知子著『空海と中国文化』 東方宗教104
手代木有児 丁文江・趙豊田編、島田虔次編訳『梁啓超年譜長編第1巻』 東方283
土田健次郎 書評・三浦秀一著『中国心学の稜線―元朝の知識人と儒道仏三教』 東方宗教103
中  純夫 『王畿評伝』『聶豹・羅洪先評伝』書評 明代史研究32
野口 鉄郎 書評・新刊紹介福井文雅責任編集『東方学の新視点』 東方宗教103
早坂 俊広 「宋明思想」研究の現状と課題 中国・社会と文化19
福原 啓郎 紹介気賀沢保規編著『復刻洛陽出土石刻時地記(郭玉堂原著)附解説・所載墓誌碑刻目録』 東洋史研究63・2
古家 信平 書評・新刊紹介志賀市子著『中国のこっくりさん―扶鸞信仰と華人社会』 東方宗教104
松尾 肇子 書評・関西中国女性史研究会編『ジェンダーからみた中国の家と女』 中国21・20
宮川 康子 書評・人倫の思想の系譜―子安宣邦『伊藤仁斎の世界』を読む 思想968
宮川 尚志 書評・新刊紹介吉元昭治著『日本全国神話伝説道指南』 東方宗教103
宮崎 順子 風水文献所在目録 東洋史訪10
森村 謙一 書評・小林清市著『中国博物学の世界―「南方草木状」「斉民要術」を中心に』 中国21・20
森 由利亜 書評・新刊紹介加藤千恵著『不老不死の身体―道教と胎の思想』 東方宗教103
山城 喜憲 『老子斎口義』伝本攷略 斯道文庫論集39
湯浅 邦弘 懐徳堂文庫貴重資料解題 科学研究費研究成果報告書
横手  裕 書評・新刊紹介小林正美著『唐代の道教と天師道』 東方宗教103
葭森 健介 書評・安田二郎著『六朝政治史の研究』 東洋史研究62・4
若槻俊秀・尾崎正治[共著] 口絵・漢籍善本紹介―大谷大学図書館(1)― 新しい漢字漢文教育38
若槻俊秀・尾崎正治[共著] 口絵・漢籍善本紹介―大谷大学図書館(2)― 新しい漢字漢文教育39

十二、その他

阿川 修三 「火車(huoche)」考―中国における近代訳語の形成についての一考察 中国文化62
井上  徹 山田賢氏の疑問に答える―拙著『中国の宗族と国家の礼制』の書評を読んで 名古屋大学東洋史研究報告28
黒田 秀教 デジタル環境における出土文献の文字処理について 中国研究集刊36
小林 和彦 ヴェトナムの文廟について―ハノイ文廟とフエ文廟を通してのヴェトナム儒教についての素描― 関西大学中国文学会紀要25(坂出祥伸教授退休記念号)
志賀 市子 海外学界動向「香港及華南道教研究」国際学術研討会に参加して 東方宗教103
阪神中哲談話会 阪神中哲談話会四十年余の記録 中国研究集刊35
福田 哲之 上博楚簡形制一覧表 中国研究集刊36
望月 真澄 『洪武正韻』依拠方音は温州音である 中国文化62
湯浅 邦弘 戦国楚簡研究関係HP紹介 中国研究集刊36

十三、補  遺

小池 一郎 郭店楚簡『老子』校注(上) 言語文化5・3

訂正
昨年の本欄(三三二頁)で「郭斉勇〔著〕白井順〔訳〕」とすべきところを「白井順〔著〕」と誤記しておりました。お詫びかたがた訂正させていただきます。


コメント

   はじめに

 平成十六年(二〇〇四)の一年間、中国哲学関係論著として約七百点をかぞえることができた。この数字だけを見れば、文運隆盛と言えよう。この論著の中には、非会員のものも多く、また「哲学」部門と言いながら、中国の歴史学・政治学・経済学・神話学・文化人類学などいわゆる中国文化一般に及ぶ多様な内容を含んでいる。実は、その事については、昨年のこの欄にて「語学・文学(部門)よりも幅広く、学際化が進んでいると言えるかもしれない」と書いたが、この傾向はますます顕著になり、中国哲学という学問枠が崩れそうな状況になりつつあるのだ。

  周知の通り、明治以来の「文・史・哲」の三分類のうちで、史学と文学はどうにか看板を掛け替えられず来ているが、こと「哲学」に至っては、かつての支那哲学・戦後の中国哲学とも改名を迫られた。それは、「中国に哲学なし」という原理主義的な認識によるものだけではない。そもそも「哲学」が諸学の根幹を自任した時代はとっくにおわり、残っているのは「哲学(史)学」という標本整理か、ポストモダンと称される自己省察的「反―哲学」の隘路で、本家のアイデンティ自体が揺らいでいるからだ。

 この間、かつて哲学の一分野だった諸学が限りなく分化して個別の学問領域として独立と拡大をはかっている。例えば「心理学」は、嘗ては哲学の一部門にすぎなかったが、それが今日の日本の文科系大学では「心理学部」として独立するほど急成長した。しかも、そこで「○○心理士」なる資格をえれば、学校や企業などの集団の軋轢に悩む個人の「心のケア」にあたれるという。それは、そのむかし仏教や儒教が果たしてきた気概や心性の鍛錬(例えば孟子の説く「不動心」)とどれほど相違があるかはわからない。ただ、確実に言えるのは、今日の「印度哲学」「中国哲学」という学問に鞍替えした内容では、「心のケア」とは無縁になっているという事だ。その何かこそ、近代化と同時に、切り捨ててきたものではなかったか。

  こうした学問としての「中国哲学」に根本的な反省を迫る学界の動向を象徴する論考として、『中国 文化と社会』第十九号の「特集」は、誠に時宜を得た意義深いものと言えるだろう。本年の中国哲学関係諸著書論文を一瞥する前に、ぜひともその梗概を紹介しておきたい。

  「特集」は、上下二段組み約二〇〇頁近いもので、その企画編集は、中島隆博氏(東京大学総合文化研究科助教授)による。氏の書いた前書き「東アジア思想における伝統と近代---hetero-genealogiesof “philosophy”---」によれば、この「特集」に収載された論文(十四本)は、同じ題名の「UTCP(二一世紀COE東京大学、共生のための国際哲学交流センター)ワークショップ」の成果ということである。氏によれば、このワークショップでは「哲学」という概念と活動に注目し、「哲学」が伝統と近代をどのように結び合わせたのか、あるいはどのように切断したのかを議論してきたそうである。

 ここで注目したいのは、その議論が本国の中国を含め国際的な広がりをもつものであったこと、もう一つは、それが日本国内の新たな学術研究推進方式「二一世紀COE」の成果(の一部)であるということである。

 前者については、時系列上の事の発端が、西暦二〇〇〇年に発表された鄭家棟氏(中国社会科学院哲学研究所教授)の「「中国哲学」の「合法性」について」という論文で、これが中国で発表されると、中国国内だけでなく外国、特に欧米において論争を巻き起こした。中島氏の企画もそのひとつであろうが、本特集には、西欧の反応としてジョエル・トラヴァール氏(Joelthoraval社会科学高等研究院教授)が二〇〇二年に発表した「儒家の経験と哲学の言説---現代新儒学におけるいくつかのアポリアについての省察---」が訳載されている。この論文は、翌二〇〇三年中国語に訳され(「儒家経験与哲学話語---対当代新儒学諸疑難的反思」)、それが中国人に与えた反響の一例が、張祥竜氏(北京大学哲学系教授)が書いた「「哲学」の帰結と限界---ジョエル・トラヴァール「儒家の経験と哲学の言説」を読んで---」であり、これも本特集に訳出されているが、この張論文に対して、さらにジョエル・トラヴァール氏がUTCPワークショップで報告したのが「中国現代哲学という制度の「パルマコン」作用---張祥竜教授に答える---」であり(ちなみに「パルマコン」とは治療薬にして毒薬の意)、鄭家棟氏がいわばこれらの論争を受けて再論したのが「「中国哲学」及び中国の思想的伝統の現代における難局」である。この「特集」では、それらが、ともに丁寧な訳注付き論文として掲載されているので、詳しくはそれに当たって欲しい。

 ちなみに鄭家棟氏の再論の冒頭に、氏の問題提起の眼目が、次の二点であったとある。すなわち一つめは「(中国哲学は)西洋哲学の概念と方法の導入により、中国の伝統的哲学とは異なったある種の言説体系と論述方式が打ち立てられたのか、それとも「中国哲学」そのものが打ち立てられたのか」、もう一つは「(哲学史の方式で)中国固有の思想的伝統及びその歴史的文脈を整理し論述することは合理性を持っているのか、必ず無理な辻褄合わせや齟齬に陥ってしまうのか」という二点で、キーは「我々が「哲学」という語を使用して中国思想の何ほどかの内容を論述し画定している時、真に中国固有の歴史的文脈と精神的伝統に接合できるのかどうか」にあるという。詳しい議論は、上記の各論文を読んでほしいが、この百年間に胡適・馮友蘭からマルクス主義に至る西洋化路線によって、切り捨てられた「中国固有の精神的伝統」の見直しとそこへのアプローチ方法が西欧哲学をもとにした枠組みで可能か否かが問われているのである。

 もう一つ注目すべきは、この研究が、今世紀、文科省が肝いりで始めた新たな学術研究推進方式「二一世紀COE」の成果(の一部)であるということである。ただし、UTCPはもっぱら中国思想哲学や中国語学文学を対象とするもではない。現代中国研究については、既に二〇〇三年に愛知大学のICCS(二一世紀COEプログラム 国際中国学研究センター)の設立が認められていた。二〇〇四年には、新たに二松学舎大学の「日本漢文学研究の世界的拠点の構築」がこれに認められたことは、本学会にとっても慶事といってよいだろう(この経過は『学会便り』二〇〇四年第二号収載の佐藤保氏の一文を参照されたい)。中国学と日本漢学・朝鮮漢学とを統合した、総合的視野での研究拠点が設けられるとのことで、その成果が期待される。それだけではなく、上述のような斯学研究の根源を問い、新たな展開をもたらすに違いない。

 なお、前掲の「特集」に収められた上記以外の論文は、中国近現代の「哲学」成立史の解明を、梁啓超・胡適・馮友蘭・熊十力らについて地道な資料的跡づけをもとにおこなっていて、ともに説得的である。以下の寸評においては、ここでの問題意識を借用し「中国固有の精神的伝統」の見直しとそこへのアプローチ方法という視点から、この一年の主要動向を整理してみよう。

   一、単行本の動向

 この一年間に刊行された単行本は一八〇点を数えるが、その多くが、啓蒙書であり、その著者も本会の会員ではない場合が多い。会員の著作で、小島毅氏の『東アジアの儒教と礼』(山川出版社)のような簡潔で意欲的な啓蒙書もあるが、それらについては別に概観する機会もあろう、ここでは会員の研究図書を中心に見ていこう。

 とはいえ、非会員の著書ながら、中国文明の成立起源という大問題にかかわりがあるものとして、梅原猛・安田喜憲共著『長江文明の探究』(新思索社)を興味深く読んだ。豊富な現地写真を掲載した読み易い体裁ながら、著者たちが十年まえから始めた「日中合同長江文明学術調査」(これも文科省COE「長江文明の探究」プロジェクト)の最新成果の報告でもある。周知の夏殷周三代の王朝が興亡した「黄河文明」に対して、それ以前に長江流域に存在した稲作中心の「長江文明」の存在を、現地の考古学者の協力をえて発掘した遺跡と、そこからの出土品の最新科学を駆使した年代測定法や環境考古学の知見により推定していく。その結果、定説だった稲作雲南省起源説を突き崩して、その長江中流域起源説を提示し、その担い手(古代の三苗・現在の苗族)が四千年前の世界的な気候変動による北からの民族移動により移動した(特に北の結核などの流行病と南のマラリアなどの風土病との交流では、北の病が南を圧倒した)との推理は魅力的だ。だが、結果的に文字を残した黄河文明にとって代わられた事実は変わらない。しかし、礼や祭祀などの伝統文化の基層にそれが痕跡を留めている可能性もあろう。これもまた、「中国固有の精神的伝統」の見直し作業に位置付けられよう。

 以下、会員の単行本研究書を①総合書、②個人論文集、③翻訳書に分けてその動向をみていくが、正直な感想をいえば、二〇〇四年に出版された研究書には、注目すべきものが大変多かったように思われる。

 ①総合的なものでは、坂出祥伸先生退休記念論集刊行会編『中国思想における身体・自然・信仰』(東方書店)、宮沢正順博士古稀記念論文集刊行会編『東洋---比較文化論集---』(青史出版)、大東文化大学文学部中国文学科企画『中国における形と心---大東文化大学創立八十周年記念学術シンポジュウム』(汲古書院)などがあり、多くの論考が寄せられて盛観を呈している。

 この中でも長らく関西大学で教鞭をとられてきた坂出祥伸氏は、周知の通り、中国科学史、近代思想史、道教思想史の三部門で常に最先端を走られてきた大家である。二〇〇三年三月で古稀を迎えられて退休されるよしであるが、氏の業績はまさに果敢な「中国固有の精神的伝統」の見直しそのものとも言ってよい。この論集の冒頭に置かれた「私は「気」の思想とどうかかわってきたか」で、その間の事情を書かれておられるが、それだけでなく氏自身が「近年到達した気の観念についての定義」についても丁寧に述べられ、近代科学には捉えきれない気をめぐる研究の重要性を説かれている。

 また、坂出氏は、中国哲学研究者が現代社会の諸問題に沈黙している点にも苦言を呈さている。例えば「生殖医療」など社会倫理や生命倫理を崩壊に導く深刻なものなのに「どうして中国哲学の研究者は自己の哲学の根本にかかわる問題として受けとめないのであろうか」と。ただし、この点については、その憂いを吹き飛ばしてくれた「真にphilosophirenする学者が登場した」として石田秀美氏が著した『気のコスモロジー---内部観測する身体』をあげられて、「中国思想を身体論的に考察している」「こういう視点こそ私が待ち望んでいた」ものであると絶賛されている。

 なお、この書には、坂出氏の研究に触発されたであろう多くの貴重な論考が寄せられている。その一部については、論文の項においてふれるが、この他に道教研究を中心として活躍された宮沢正順氏の業績や大東文化大学創立八十周年の重みにも注目すべきだが、先に進もう。

 ②個人論文集でも、この一年間に貴重な話題作が何点か刊行された。その中でも、内容は高度な研究論文でありながら、一般読者をも視野にいれたものと、博士学位請求論文のような専門家向け学術書に分けられる。前者では、上記の石田秀美氏『気のコスモロジー---内部観測する身体』(岩波書店)のほかに、溝口雄三氏『中国の衝撃』(東京大学出版会)、坂元ひろ子氏『中国民族主義の神話---人種・身体・ジェンダー---』(岩波書店)、有田和夫氏『近代のかたち---中国と日本---』(研文出版)などが注目される。

 石田氏の『気のコスモロジー』については、すでに上記の通り坂出祥伸氏により高く評価されているものである。石田氏は、西欧哲学の〈主観/客観〉という枠組み自体を問題視され、荘子の心斎論などに触発された「表象するこころ」を鎮息した後の「内部観測的身体知」を主張し、まさしく「中国固有の精神的伝統」の見直しに一石を投じるものだが、旧来の中国哲学研究者の議論とはまだ径庭がありそうだ。本書は、中国哲学史とともに西欧哲学史の読みなおしも行われていて、欧米の現代哲学研究者からの反響の方が早いかもしれない。

 溝口氏の『中国の衝撃』は、従来の「西欧の衝撃」=近代化論の見直しを表題としたもの。坂本氏の『中国の民族神話』は、一九九〇年代のジェンダー論のもとに女性の視点から近代中国に導入された民族主義や優生思想、さらには纏足など習俗を考察し、そこに内在する「まなざし」を明示して、中国近現代思想史の新生面を開拓している。

 有田和夫氏『近代のかたち』は、著者が二〇〇〇年から二〇〇四年にかけて発表した論文五本を収載していて、日本と中国における近代思想にかかわる諸概念の成立背景を丹念にたどり、その「かたち」の再確認をせまるもので、「中国固有の精神的伝統」の見直しではなく、近代化を即西欧化と解して疑わなかった前世紀学術思想界への見直しである。拙文のはじめに紹介した「特集」と共通する問題意識でもあり、いずれクロスすることであろう。また、二〇〇三年にも関口順氏の『儒教のかたち』(東京大学出版会)が刊行されていて、「かたち」の再確認という視角からの見直しが今後も続くように思われる。

 もうひとつの専門家向け学術書、論文集としては、吉永慎二郎氏『戦国思想史研究---儒家と墨家の思想史的交渉---』(友書店)、斎木哲郎氏『秦漢儒教の研究』(汲古書院)、吾妻重二氏『朱子学の新研究---近世士大夫の思想的地平---』(創文社)などが、著者自身の長年の研究業績をとりまとめていて貴重である。共に大冊で、吉永氏の著書は、平成十年(一九九八)の学位請求論文をもとに増補して全九六〇頁、斎木氏の著書は、一九八七年に『日本中国学会報』に発表された論文「秦儒の活動素描」を筆頭に二〇〇〇年までの三〇本近い論文につき増補修正されて、全八七〇頁。吾妻氏の著書は、平成十五年(二〇〇三)の学位請求論文「朱子学研究---伝統士大夫の思想とその位置」に改訂を施して、全六〇六頁である。ともに重厚な力作ぞろいで、いずれ同学専家の書評も出される事と思われる。

 ③二〇〇四年に刊行された翻訳書としては、浜久雄氏『明夷待訪録』(黄宗羲著、明徳出版社)、柴田篤氏『天主実義』(マテオ・リッチ著、平凡社)、島田虔次氏を代表とする『梁啓超年譜長編』(丁文江・趙豊田共編、岩波書店)、吾妻重二氏『新唯識論』(熊十力著、関西大学出版部)等が注目される。

 特に浜久雄氏の『明夷待訪録』は、これまでの翻訳にはなかった、未刊文の「文質篇」「封建篇」を訳出されている点と、その「封建篇」が、封建制の廃止が夷狄の跋扈跳梁を招いたとして、封建制復活を主張している事を明瞭にされた点で、特筆に値する。というのは、黄宗羲が、封建体制擁護論者であった事実からは、清末以来、黄を民主主義思想の持ち主とみて「東洋のルソー」だと高く評価してきたのは、資料の一面を断章取義的に解釈した結果であり、その中でも「原君篇」、とりわけ「民の自私自利」を肯定した文言をめぐる解釈について「黄宗羲はえせ君主がいなくなれば、人民は本来の自私自利的な欲求を満足させうると逆説的に論じたものであって、必ずしも富民層の利益を擁護する目的を持って原君篇を展開したとは到底考えられない」と断じておられ、従来の黄宗羲思想評価に訂正を求められて説得的である。

 他に加地伸行氏訳『論語』(講談社・及びビギナーズ・クラシック中国の古典、角川書店)、吹野安・石本道明氏共訳『論語』(『孔子全書』所収、明徳出版社)、渡辺義浩氏訳『全訳後漢書』(汲古書院)、吉川忠夫氏訳『後漢書』(岩波書店)など、同一書が複数点翻訳されていて注目される。

   二、研究論文の動向

 一年間で五〇〇本を越える論文について「中国固有の精神的伝統」の見直しとそこへのアプローチ方法という視点から、改めて取捨し整理するのは容易ではなかった。以下、時代順に動向をまとめているが、大変おおまかな素描にすぎないことをお断りしておく。

 先秦時期では、本年も、郭店楚簡・上海博物館所蔵楚簡など出土資料をめぐる思想研究が隆盛をきわめている。金谷治氏「楚簡『性自命出』篇の考察」(『日本学士院紀要』五九・一)、沢田多喜男氏「郭店本『老子』攷(二)」(『東洋古典学研究』一七)、池田知久氏「上海楚簡『孔子詩論』に現れた豊(礼)の問題---関雎篇評論における人間の欲望を規制するものとしての豊(礼)---」(『東方学』一〇八)、浅野裕一氏「上博楚簡『魯邦大旱』における刑論」「上博楚簡『容成氏』における禅譲と放伐」(ともに『中国研究集刊』三六)などなど。こうした研究成果をいち早く単行本にまとめられた浅野裕一・湯浅邦弘編『諸子百家〈再発見〉---掘り起こされる古代中国思想』(岩波書店)は、本来は前項で触れるべきものだが、時宜をえた貴重な成果である。

 それらとは別に、従来の資料中心の研究にも意外な見落しや視点を変えれば新鮮な発見の驚きがあることを述べた論考を紹介しよう。そのひとつは、仲畑信氏「『論語』不曰如之何章の解釈をめぐって」(『中国思想における身体・自然・信仰』)もうひとつは塚本信也氏「先秦期における「笑」の語用論」(『集刊東洋学』九二)である。

 前者の仲畑論文は、『論語』衛霊公篇の有名な「之を如何せん、之を如何せんと曰わざる者は」の読みについて、周知のとおり『論語』の読みは、大きく古注と新注に分かれるが、いつのまにか新注の読み慣わしが、古注まで及んでいるという事実を指摘して貴重である。ちなみに古注は「之を如何せんと曰わず」で切り、下の「之を如何せんとする者」について「吾(孔子)之を如何せんともするなし」としている。

 塚本論文「先秦期における「笑」の語用論」は、もともと語学の論文であるが、語法上の使用パターンを甲型〔A笑(B)曰〕と乙型〔A(謂B)曰(B)為C笑〕にわけ、詩書より諸子百家の著作まで、その使用例をしらべ、甲型の多い『荘子』と乙型の多い『韓非子』とが全く対象的であることを発見し、そこに笑いの哲学的分析を加えて、乙型が多い『韓非子』の思想について、その笑いがもつ社会的制裁のイデオロギーを読み取り「読者は他愛もなく、まんまと韓非の術中に陥っており、笑いは踏み絵さながらに、読者を選別する武器ともなっている」と指摘し、韓非の思想構成の一側面を抉り出している。既存資料にも、まだまだ見直す点のあることを思い知らされ、感心した。

 秦漢時期では、前漢の董仲舒に関する論文がなかったことが印象的である(継続中の『春秋繁露』訳注二本はあるが)。論文としては、池田秀三「後漢黄老学の特性」、武田時昌「王充の性命論と科学知識」(ともに『中国思想における身体・自然・信仰』)、辛賢氏「後漢易学の終章---鄭玄易学を中心に---」(『東方学』一〇七)、など後漢の思想研究に新しい展開が伺えて、興味深く感じた。その中でも畠山薫氏の「趙岐『孟子章句』の成立とその背景」(『集刊東洋学』九二)は、後漢の趙岐の『孟子』注釈中に、本文の解釈をはみ出した注釈者自身の思想を読み解く(例えば『論語』郷党篇の「翔而後集」という言葉が何度かみえ、それが「官職に就任すべきか否かを決定する」の意味で使われることから、時代背景とからめて趙岐自身の人材登用論を読み取る)など、これまでほとんど論じられることのなかった趙注の思想を分析して成功していると感じた。

 六朝唐代では、道教や仏教関係の論文が多くて、研究の進展している様子がよくわかるが、寸評子の守備範囲ではないので、割愛する。ただ一点、南沢良彦氏「則天武后の明堂について」(『中国思想における身体・自然・信仰』)を紹介したい。周知の通り、礼の規定する明堂が、天子の政治の場という重要な役目を負わされながら、経義としては曖昧で、漢代以来の議論も一定しない状況だったが、氏はその議論と明堂建設史を手際よくまとめ、則天武后に至り、儒者でなく仏僧や道士に命じて明堂を設立したその背景を抉り出している。すなわち、明堂が「天子としての力を獲得しうる正統な場所」であり、武后にとってその建立はだれよりも「ずっと切実」だったという。中国史上唯一人の女帝の表裏が偲ばれて、面白かった。

 宋元明清時期の研究論文点数は、合計一二〇本近くあり、他の時期に比べて少ないとはいえない。そう思っていたところ、早坂俊広氏が、「宋明思想研究の現状と課題」(『中国---社会と文化』十九)と題する一文を書いていて、冒頭に「結論を最初に述べるならば、現代の日本において、宋明思想研究は壊滅的な状況にある」と指摘されている。実際は五冊の論著の書評といった内容だが、時期を限っての研究展望は、珍しく貴重な存在だ。関心のある方は、是非一読を。

 この時期の研究論文には、荒木見悟氏「仏教居士としての陸光祖」(『名古屋大学中国哲学論集』三)、佐藤仁氏「「江州陳氏」について」(『東洋古典学研究』一七)、佐野公治氏「明代嘉靖年間の講学活動」(『陽明学』一六)など、既に大学を退休された斯学大家の方々が、まだまだ第一線で、貴重な論考を公表されていて、学問分野の緻密化が進んでいるのが現状であろう。そうした中で、若い研究者の二論文が目についた。森宏之氏「湛若水の思想---白沙思想との継承と展開---」(『九州中国学会報』四二)と金原泰介氏「康煕年間における陽明学批判の流行---熊賜履の影響力を中心に---」(『東方学』一〇七)とである。

 前者は、王陽明と並び明代を代表する思想家・湛若水の思想を、その師の陳白沙思想の継承から分析し、白沙も唱えなかった湛の「心即理」説について、それが主観内にとどまることなく、主体(心)を拘束する朱子学的理意識や家国天下の事物とも感通する理の流動的性格をもって措定されていたと指摘し、それは湛の挙業と業の「二業合一」の主張と呼応し、科挙を通して士大夫としての「経世済民」の回復をはかるという時代状況を反映した実践的なものだったという。その後、時代は陽明学全盛を迎えるが、湛学の継承者たちは、明末に再び活躍する。この事実から、改めてその思想継承者たちの再検討を試みたいと、意欲的である。

 後者金原氏の清朝初期「康煕年間における陽明学批判の流行」は、その流行を担った人々が必ずしも朱子学者ではなく、科挙の策論にそれが出題にされた為に受験生たちがこぞって陽明学批判者に回ったもので、仕掛け人が、六度も考官に任じられた朱子学者・熊賜履とその弟子たちであったことを明らかにしている。これらの論考は、ともに科挙制度を視野に入れ、その社会と学術とのかかわりを論じて宋明清の思想史に新生面を開くものであり、十分に今後を期待しうると感じた。

 清末近現代に関する論文も多いが、はじめに触れた「特集」に見られるとおり、清末より中国伝統文化を「中国哲学」という概念の下に整理してきたことに根本的な反省がなされていることと、もうひとつは、毛沢東思想やそれが引き起こした文化大革命についても歴史的な検証が加えられていること(『アジア遊学』六五の特集「文化大革命の再検討」所収論文参照)との二点が注目されたが、今はそれだけに留めたい。

 日本思想の研究では、江戸漢学の研究、特に林羅山、荻生徂徠、伊藤仁斎、佐藤一斎などの研究が健調であるが、近年では明治大正期の学者思想家にも多くの研究成果が出ている。本年では、吉田公平氏「東啓治主幹『陽明学』に於ける春日潜庵」(『東洋古典研究』一八)、坂出祥伸氏「岡倉天心と道教(覚書)」(『東洋---比較文化論集---』)、松川健二「三島中州の理気論」(『陽明学』一六)など、意欲作が目立っている。その中でも、今回、特に陶民氏の「張謇与内藤湖南及西村天囚---内藤湖南文庫所収未刊書信考証(一)」(『関西大学中国文学会紀要』二五)・「内藤湖南における『支那論』の成立ち---民国初期の熊希齢内閣との関連について」(『東方学』一〇八)を注目した。氏は、昨年も「下田密航前後における松陰の西洋認識---米国に残る「投夷書」をめぐって---」など、新発見の資料をもとに国際的な視野から日本人の思想の核にせまる労作を発表されていて、記憶に残っていた。

 後者の『支那論』をめぐる論考では、関西大学図書館所蔵内藤文庫から内藤と熊希齢らとの交友を示す文書を見つけだし、内藤湖南が一九一三年に『支那論』を執筆する、その背景に、当時袁世凱総統下で、内閣総理だった熊希齢の存在があったことを指摘し、湖南がその十年前から熊と交友があり、特にその経済手腕への肯定的認識があって、熊の施政方針を高く評価していたことを浮かび上がらせる。しかし、翌一九一四年の『支那論』刊行時には、事態は一変し、「帝国日本の国益の論理に従って」熊の政策を批判するに至る。いわば「近代日本の対中国姿勢に内在する自己矛盾」が読み取れるという。この背景には、米国資本の中国進出と帝国日本の権益との対立や、袁世凱の権力集中と熊希齢の法治国家建設の試みとの対立など複雑な要因がからみ合うが、論旨の内藤湖南『支那論』にみえる「対中国姿勢に内在する自己矛盾」は、そのまま現代日本人の中国認識にも尾を引いているようで、重いものを感じた。

  三、その他

 最後に、論文著書以外の学界動向にふれよう。学会活動としては、「九州中国学会」が五十周年を迎え、その記念に『九州中国学会五十年史』が刊行され、創立当初から現在までの通史、関係者の回想、役員・会則等の史料が収載されている。初代会長は宋明学の泰斗・楠木正継氏で、九州各県に代表を置き、『九州中国学会報』を刊行してきた。近年は、地の利もあって韓国・台湾・中国の各大学とも活発な研究交流が行われている。現会長の岩佐昌氏が、この五十年を振り返り、さらに今後を展望してこう言っている。「五十年の伝統(=研究の業績)を継承し、さらにそれを発揮していくことが、われわれ後学の責務であることはいうまでもないが、その蓄積を解体し、その中から新たな発展の方向を探ることもわれわれに課せられた任務であるだろう」(同書序文)。半世紀におよぶ活動を踏まえて、継承と解体という「双方向の視点」を提示されていて、示唆的である。

 また、学会ではないが、関西の「阪神中哲談話会」も四十年をこえた。その歩みを菅本大二・矢羽野隆男両同会幹事が「阪神中哲談話会 四十年余の紀録」にまとめて『中国研究集刊』第三五号に掲載している。それによれば、昭和三八年(一九六三)在阪の中国哲学研究者三五名で結成され、「現在まで四十一年、開催された例会三六〇回を超え、現会員は約百三十名を数える」とのことで、ここには二三頁にわたり、その間に開かれた例会の開催日、場所、発表者、発表題目が列記されていて壮観であり、研究者の関心の変遷もわかり貴重な紀録である。ただ、近年は発表者も参加者も減少し、例会も年十回から四回になったという。

 なお、国内の記念行事としては、二〇〇四年十一月に「大東文化大学創立八十周年記念シンポジュウム」が開催された。同大学のホームページによれば、「大東文化大学の前身である大東文化協会は、一九二三年(大正十二年)国会の決議によって創設され」、「東洋の文化を基礎として西洋の文化を吸収し、東西文化を融合して新しい文化の創造を図ろうとする有識者の提案によるもの」であったという。以来八〇年、この設立趣旨は、依然として「現代の国際社会の規範ともなる考え方」であることに異存はないだろう。二一世紀の日中関係には、その八〇年の経験と蓄積が大きくものを言うように思われる。新たな飛躍を期待したい。

 国外では、同年九月から十月にかけての中国での「紀念孔子誕生二五五五周年国際学術研討会」が開催された。主催者である「国際儒学連合会」は、この年より中国の谷牧氏を会長に戴き、香港・台湾・韓国・日本・シンガポール・アメリカ・カナダ・オーストラリア・フランス・ベルギー・ドイツに委員をおく、儒教研究団体の世界的な組織であり、同記念討論会は、傘下の儒教研究者が一堂に会する五年に一度のイベントである。そこでは、本稿の最初に触れた「中国哲学」ではなく「儒教」そのものの現代文明社会における位置と役割が課題として取り上げられている。いずれその討論論文集も刊行されると聞いているので、注目したい。

 なお、二〇〇四年末に、中国は、世界に「孔子学院」を一〇〇校建てて中国語の普及をはかると発表した。本家中国の学術界の変貌は、いつも我々の想像を越えてきた。かつて中国の哲学界といえば、マルクス主義毛沢東思想一辺倒であったが、文革後の改革開放政策により伝統思想の見直しという上からの復古運動が起こされ、今日では四書五経の中の名文の暗誦の必要性も言われだしている。そうした中での世界「孔子学院」構想発表である。語学普及は、文化や思想哲学と不可分だ。伝統儒教を「中国哲学」と改称した是非についての学問的反思の行方とも連動し、まだまだ大きく変貌してゆくだろうと思う。

 会員の物故者として『斯文』一一二号に、石川梅次郎・山崎純一・山崎道夫の三氏の追悼文が掲載されていた。二〇〇四年秋には、九州で活躍された岡田武彦氏が鬼籍に入られた。岡田氏については、現在『岡田武彦全集』が明徳出版社より刊行中である。また、日本人学者ではないが、『近きに在りて---近現代中国をめぐる討論のひろば』第四四・四五合併号に、韓国人学者・閔斗基氏の追悼特集が掲載されていた。閔斗基氏は、知る人ぞ知る韓国を代表する中国近代思想研究者であった。斯学の為に尽力された先学各位の冥福をお祈りしたい。

 本稿執筆のためのデータ調査で、気付いたことだが、韓国の学術雑誌も年々増加しており、例えば成均舘大学校東亜学術研究院儒教文化研究所の編纂する『儒教文化研究』は、同一内容の韓国語版と中国語版(簡体字)の二種を刊行して、情報発信している。本会には、中国籍や韓国朝鮮籍の会員も多くいる。研究の国際化・国際理解という点では、各国別の学界動向を別に報告してもらうようにはかる時期かもしれない。

 展望と言いながら、今年も足元を見回しただけでおわるが、寛恕を請うて筆を置きたい。

(竹内弘行 庄兵)